2012年5月23日水曜日

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綿矢りさ





私の記憶が正しければ、かなり話題になっていたはず。
これがキッカケで、17歳にして、作家。

凄いなぁと感心したコトを憶えている。



で、たまたま図書館で見かけたので、読んでみた。
書籍の重量からみて、ボリュームは極小。

多分数時間で読める。


内容は、女子高校生の心の葛藤と、その時に出会う奇妙なバイトのお話。
青臭く、懐かしい、高校生の頃の心情を、とても上手く表現していると思う。

読んでいて、高校生の頃の自分の葛藤も思い出した。


ボリュームが足りないので、そこだけは注意が必要。

2012年4月20日金曜日

シャドー81

随分古い(といっても、30年少しだが)小説だ。
名作と言われて一世を風靡した作品ということだ。


「シャドー81」




さすがに、それだけの評判の作品だけある。
読み応えたっぷり。

全く想像もつかない、ハイジャックを描く。
その、展開と計画の綿密さは、驚嘆するばかりだ。


「面白い」の一言で、闇雲に読み始めたが、最初のウチは、何の話か分からず
展開も一貫性がないため、途中で投げ出しそうになった。

まずは、物語の概要を知っておくことを進める。



この作品は「ハイジャック事件」を描いている。



それが念頭にあれば、初めから「何の話だ?」と路頭に迷うことはなくなる。
逆に、どうやって「ハイジャック」につながるんだ???、とワクワクで読めるはずだ。

概要を読まなかったことが悔やまれる。。。



ハイジャックは、物語の中盤に始まる。

その奇妙なハイジャック事件に、対応に迫られる人々は、後手に回るばかりだ。
事件の犯人は、プレイヤーの出方を計算しつくした上で、その先を行く。


とても常人では考えつかない、その展開と計画は、まるで雲上人のチェスを見るようだ。


名作は、歳をとらない。
いつまでも名作で在り続ける。
これは、非常に良い作品だったと思う。

2012年4月12日木曜日

子どもの免疫力を高める方法

ここ最近ではないだろうか?
花粉症が、一般的な症状になったのは。

私が小学生の頃は、天気予報で「花粉が多く飛びます」なんて言わなかったと思う。

子どもの免疫力を高める方法


この本には、子どものアレルギーやアトピーの原因が、現代の生活環境にあると説く。
過剰に清潔にするようになった生活環境に。

清潔だから、何の問題はない。
普通そう考えられると思うが、本書は逆を説く。

潔癖だからこそ、免疫力が低下している。
そのために、アレルギーやアトピーを引き起こす原因となっていると。


そうかもしれない。


子どもの頃、どぶ川で捕まえたハヤを焼いて食べたり、畑に実っていたトマトをその場で
丸かじりしたり、ざくろや木の実をとって食べたり。
今は、見かけない。

トマトを店で買ってきて、そのままかぶりつくことはない。
洗って、綺麗に切って、フォークや箸で食べる。

食べ物はまず「洗う」。
ばい菌がいるから、農薬がついているかもしれないから、など、色んな理由から。

もちろん手も「洗う」。
ばい菌がいっぱいだから、ウイルスがついているかもしれないから。


昔は、泥遊びをして、泥団子なども食べたことすらあるのに。。。


そうして、体内に入る菌を極力減らしていった結果、菌に対する抵抗力、つまり免疫力が
低下してくるというのが、本書だ。
アレルギーも、その影響で発生するという。


適度に「汚い」方が良いようだ。
何が良いか。。。というのがわからないけどね。。。


本の中には、無駄に漫画もあって、読みやすく工夫してある。
子どもにも読みやすくなっていると思う。

知識としては、あっても困らないだろうね。

2012年4月11日水曜日

このまま100歳まで、おいしゅうございます

岸朝子さん。

「料理の鉄人」で審査員として、出演していたおばあちゃんだ。

「おいしゅうございます」
というセリフがイメージで張り付いている。

そんな岸朝子さんが書いた本。




岸朝子さんは、料理記者という職業らしい。
ざっくりいえば、料理に関する雑誌記事を書くのが仕事の方。

そんな仕事をされて、50年以上とのことだ。


本書は、岸朝子さんの人生を紡ぎながら、「食」というものに対して
どういう想いがあるかを、散りばめてある。

また、生き方の哲学も。


本の中に
「悩みは太陽の下で考えろ」
のようなコトバがあった。

あぁ、なるほど。
と唸る。

太陽の下では、うじうじ考えるのが馬鹿らしくなる。


これから、悩み事があるときには、太陽の下にでよう。

いろんなエッセンスがあり、本書から学べることは多い。
読んでいても愉しい本だった。

2012年4月6日金曜日

贋作に明日はない

この作品に出会って、
「これまで読んでいた本は、白黒で表現する水墨画のようだったかもしれない」
なんて、思った。

この作品を一言で言えば

「カラフルなモザイク画」

だ。もちろん、これは小説の話。
だから、水墨画やモザイク画の表現は、私のイメージ。





この作品ほど、ガチャガチャしているものに出会ったことがない。
そもそも、出会った書籍自体が少ないのもあるが。。。


海外ドラマの主人公のように、この作品の主人公アニーは、落ち着くことを知らないようだ。
アニーは常々「ゆっくりしたい」という願望を持っているようだが
環境か、状況か、性格かが災いして、落ち着くコトが一篇たりともない。

更に、本作品は「贋作」をテーマとした、殺人事件の話なのだが
それとは全く関係ないと思われる出来事が、アニーに振りかかる。

もしくは、アニーが引き寄せる。


そんな忙しない物語が紡がれていくのだが、何故かいつの間にか
すべてがまとまって、殺人事件の背景が明らかになるのだ。

隣り合う色に関連性が全くなさそうなのに、全体として、それが調和している
そんな作品が、この「贋作に明日はない」だ。



この作品は、シリーズの二作目のようで、一作目は
「贋作と共に去りぬ」ということだ。





忙しない作風は、かなり読了に困難を極めたが、物語は非常に面白かった。
だから、一作目も読んでみたいな。

2012年4月4日水曜日

ウンココロ

「ウンコ」の話。

そう言うと、どれだけのヒトが引いてしまうのだろう?
殆どのヒトか?

しかし、こんな本がある。




世の中に、公然と「ウンコ」を分析し、研究するヒトがいる。

そして、それが書籍になるということは、それだけ関心があるということか。


「ウンコ」=「汚いモノ」


そう決まったのはいつの頃だろうか?
もしくは、全然決まっていないのか?


「ウンコ」は好きではない。臭いし。見た目が良くないし。


しかし「ウンコ」は、数多くを物語る。
それを、上記の本は教えてくれる。


「ウンコ」した後、お尻を拭いた時、紙に「ウンコ」がつかないほど
後切れが良い、爽快な「ウンコ」を、今日、しているか?

もし、そんな爽快「ウンコ」をしたのならば、それはいつの頃か???


少なくとも、自分の「ウンコ」の状態を把握して、体調の把握をしてみるのは
悪くはないと思う。
そのための、入門書がこの本だと思う。

2012年4月3日火曜日

懐かしい未来 ラダックから学ぶ

この本は、ちょっと重たい。
物理的には、大したコトはないが、内容的に。

読むのには、結構苦労する。





「懐かしい」と「未来」と、まるで矛盾するようなコトバだが、この本をよく表しているタイトルだ。

「土と共に生きる」
そういう生活をしたことはないのだけれども、本能的にか、なんとなく親しみがあるような
気がする生活。

本書は、実はそういう生活が、有るべき未来ではないか?
と提言しているように思える。

自給自足。
意識しなくても、当たり前に成立するリサイクル。
ゴミ、公害、汚染、健康被害。
そんなコトが、全くない生活を、人間はこれまで営んできた経験を持つ。

それが、いつの間にか、今の世の中にあるような生活が「素晴らしい」と思い
土から離れて生活するようになった。
また、その生活を憧れるような環境を作った。

ラダックは、とても田舎で、最近まで「土と共に生きる」生活、つまり自然と共存した生活を
営んでいた。
そのラダックが、文明の波に飲み込まれ、変化していくさまを、本書は伝える。


人間の行く末は、本当にこの道で良いのか?
そういう疑問を投げかけた書籍だ。

様々な意見があるだろうが、一つの事実として、本書を記憶しておくと
考えに深みが加わると思う。